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【高山市の発展のために】 文化の継承について
私は吉村昭作品のファンである。文庫本を40冊以上は持っていると思う。
私にとって最高の傑作「高熱隧道」の企画展があると知り、先月、荒川区にある吉村昭記念文学館に初めて足を運んだ。
吉村昭氏の生まれ故郷は荒川区東日暮里(当時は北豊島郡日暮里町)にあった。
当初、こぢんまりした建物を想像していたが、その文学館は、地上5階地下1階の堂々たる荒川区立中央図書館「ゆいの森あらかわ」の中にあり、2階と3階の一部を占めていた。
氏にまつわる品々や写真は勿論、井の頭公園の傍にあった氏の生前の書斎も再現展示されており、ファンには堪らない空間であった。
しかし、何故、図書館の中に作ったのであろうか。
その経緯は、氏の妻である芥川賞作家津村節子氏の挨拶文にあった。
「吉村の生前、荒川区長西川太一郎氏から吉村昭記念文学館を建てたいという申し入れがあった時に、区民の税金を自分の施設などに使うのは本意ではないと固辞したが、区長の熱意に押され、最終的には図書館のような施設と併設であればと、有り難くお受けした。」
なんと素晴らしい発想というか、将来を見据えた慧眼というか、いやはや、全くもって恐れ入った。
往々にして記念館などといふものは、ファン以外にとっては押しつけがましい展示が並び、一度行けば十分で二度と行かない、といふ性質のものであろう。
だが、ここは違う。
文学館を出ると、そこは図書館内であり、周囲の書架には、60万冊を超える蔵書が納められている。
書架以外の広々としたスペースには、冬という季節柄もあって、あまたの中高生が受験勉強、調べ物、読書に勤しんでいる。それが、3階から4階、5階に続いている。
勉強に疲れたら、広いバルコニーにも出られる。空や街並みを眺めて一息つける。
1階には、防音の施されたホールもあり、その裏手には、絵本コーナーがある。お母さんが幼児に絵本の読み聞かせをしていた。
ここで育った子どもたちは、当然、吉村昭記念文学館にもいずれ興味を惹かれ、作品にも触れることだろう。
故郷に誇りを持つ切っ掛けにもなろう。将来、有名作家が荒川区からまた登場するかもしれない。
文化の継承とは、埃臭い過去の遺物をそのまま承継するものではない。崇めるだけのものでもない。
それまで築かれてきた文化を、次の世代が、仕事や生活の中で空気のように取り込み、自分の中で変化が加わったりしつつも、自身のものにしてゆく。自分の仕事や生活の日常にも活かされてゆく。
生活に根ざす文化の継承の好例を、荒川区で見た気持ちがした。
ちなみに、私の部屋の本棚には、池井戸潤氏、奥田英朗氏、中山七里氏、そして当然ながら、米澤穂信氏の本も多く並んでいる。
いずれも岐阜県出身の作家である。
【高山市の発展のために】 内だけではなく、外からシンパを募ろう
先だって、高山で、市役所の方を交えてお茶をする機会があった。
氏曰く、
「従来の祭りや観光だけではなく、市としてもいろんなイベントをやったり支援したりして、新たな人たちを呼び寄せる取り組みを行っている。
ただ、新たなイベントの運営については外部に委託せざるを得ないのが現状。高山市内やその周りには、イベントを運営するノウハウがない。かと言って、外部業者は決してノウハウを市側に開示するようなことはない。結局、言いなりであり、委託費用も年々あがっているような有様だ。」
妙に納得。
というか、日本全国のあちこちがそうで、例えば、ふるさと納税なんて最たる例である。委託先が大いに儲かる構造で、税収を増やす筈が、却って赤字となっている自治体は多い。
話を戻そう。私がその時言ったことは
「だったら、高山を出て都会で就職して、そういった業界でノウハウを身につけた人が、60歳とか65歳になったら、高山に来てもらって、イベントを支援してもらう仕組みを作ればいいじゃないの。
別にイベントに限らず、都会にある仕事のノウハウを、高山にもってきてもらい、高山で活かしてもらう。高山に新たな仕事を作る。その役割を、高山出身者や高山シンパの60代に担ってもらう。現役だと費用もかかるし色々難しいだろうが、リタイア組なら一肌脱いでくれる方も多いだろう。」という主旨である。
選挙期間中にも訴えたが、今の60代なんて全然元気。
居場所さえあれば、バリバリ活躍するから。
ということで、本日、数え年で60歳となりました。
先輩でもある、尊敬する和田先生の本を読みます。